話し合っておきたい
「子ども」のこと

結婚の目的は、ふたりでともに人生を歩むことですが、さまざまな価値観があるなかで、「家族」に関しての考え方も百人百様。「家族」の考え方によっては、その後の人生設計が変わってきます。とても大切なことなので実際に口に出して意見を交わしてみましょう。

「子ども」を
希望する?希望しない?
-これから結婚生活を始めるおふたりに知っておいてほしいこと-

今すぐではなくても、いつか「子ども」を希望するときが来たときのために、ふたりの体のことを詳しく知り、妊活を始める時期などについてもふたりで話し合っておきましょう。

「ブライダルチェック」「プレコンセプションケア」って知ってる?

流産・早産リスクを確認して早期に対策を!

「ブライダルチェック」「プレコンセプションケア」とは、結婚前や妊娠前に行う、体のチェックのこと。おもな検査として、男女ともに血液検査、女性は超音波や細胞診や膣分泌物による検査、男性は尿や精液検査などがあげられ、病院やクリニックで受診することができます。また、健康状態に問題がないかどうかを健診することに加え、妊娠や出産の妨げに関わる病気がないかを調べることもできます。
ウイルスや細菌に感染することで引き起こされる流産や早産などのリスクも、「ブライダルチェック」で早期に対策することが可能です。子どもを希望する、しないに関わらず自身の体を知るために受けてみませんか。

「ブライダルチェック」や「プレコンセプションケア」は男女両方のため

「ブライダルチェック」や「プレコンセプションケア」は、妊娠を希望する・しないにかかわらず、ふたりをより深く知り、自分たちの生活や健康に向き合うための結婚前の準備の一つ。もちろん、結婚が決まる前に受けてもOKです。また、「ブライダル」という言葉から、女性だけのものと思われがちですが、最近は男性でも受ける人が増えているよう。不妊の原因は女性側だけではなく、半数は男性側にも問題があると言われているので、子どもを望む場合はそれぞれ受診しておくのがおすすめです。


教えて先生!
清水なほみ先生
日本産科婦人科学会専門医

2001年広島大学医学部医学科卒業後、広島大学附属病院産婦人科・中国がんセンター産婦人科・ウィミンズウェルネス銀座クリニック・虎の門病院産婦人科を経て2010年9月「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業。 「全ての女性は美しくなる権利がある」をコンセプトに女性の美や健康をサポートするための医療を提供。ブログや書籍、雑誌などを通し、健康に関する情報を発信中。

いずれは子どもが欲しいですが、今は欲しくありません。でもいざ欲しくなったときに妊娠できるか不安です。

入籍の有無、ライフスタイルなどさまざまな理由から、「いずれは子どもを持ちたいけれど、今は…」という状況の人も少なくないようです。しかし、いざ「子どもを持ちたい」と思ったときにスムーズに妊娠できないこともあります。
年齢を重ねると、卵子や精子の質が低下し妊娠しにくくなると言われており、年齢が高くなるにつれて子宮や卵巣の病気のリスクも増加します。近年では、将来の妊娠に備える一つの選択肢として、「卵子凍結」や「精子凍結」を検討する方も増えてきました。
「卵子凍結」は病気の治療のために行う場合を除いて保険の利かない自由診療のため、経済的な負担も多くありますが、一定の条件を満たす場合、一部の費用を助成するという自治体の動きも出てきています。将来の妊娠を考えている人は動向をチェックしておきましょう。また、男性については、必要時、医師の勧めがある場合などに、「精子凍結」という選択肢もあります。


妊活、いつから始める?

まずは妊活開始時期をふたりでイメージしてみよう

妊活や子どもを持つことは、ふたりで取り組んでいくこと。ただし、ライフプランのなかで、コントロールしにくいことが妊娠であるため、情報を集めて、「いつから始めるか」「どのように進めていくか」、パートナーとの目線を合わせておくことが大切です。
実際には、「ふたりの年齢」「結婚式やハネムーンとの兼ね合い」「ふたりだけの新婚生活を楽しみたい期間」「仕事やお金などのライフプラン」を考慮して、妊活を始める時期を決めているカップルが多いようです。

妊娠するにはいくつかの方法がある

妊娠するには、「自然妊娠・不妊治療(タイミング療法・人工授精・生殖補助医療とステップアップ)」などいくつかの方法があります。避妊をしなければ、すぐに妊娠につながるとは言えません。
例えば、妊娠率は年齢とともに下がると言われており、日本産科婦人科学会では、避妊せずに性行為を行って1年たっても妊娠しない場合に「不妊」と定義されています。ふたりのライフプランを考えるなかで、「いつまでに妊娠したい」という希望があれば、自然妊娠以外の可能性も合わせて検討しておくのがよいでしょう

不妊の要因は女性だけではない

もしかして「不妊かもしれない」と思ったとき、不妊の要因として考えられることはいくつかあります。 女性側の要因としては、無排卵や、子宮内膜症を合併していること、過去に骨盤腹膜炎などにかかったことがあったりすると妊娠しにくくなると言われています。男性側の要因としては、精子の数が少ないもしくはない、精子の運動性の性状が悪いなどが考えられます。
1998年のWHO統計では、女性にのみ原因がある場合が41%と、男性のみの場合が24%、男女両方に原因がある場合が24%と発表されています。男性側に要因がある割合と、女性側に要因がある割合は、ほぼ半々だと言われています。だからこそ、どちらかの要因と決めつけず、「不妊かも」と思ったら、ふたりで検査しましょう。


こんな方法も!
特別養子縁組や里親制度などで広がる多様な家族の形。

子どもを産みたいけれど、さまざまな理由からそれが叶わない方もいます。「産めないが子どもを育てたい」と考える方への選択肢が、特別養子縁組や里親制度。これらは、事情により、実の親による子どもの養育が難しい場合に、実の親に代わって、温かい家庭環境のなかでこどもを健やかに育てる多様な家族の形としてあるものです。 興味や関心があれば、制度について理解するために、「こども家庭庁」をはじめとした行政の窓口や、専門のNPO法人へ相談を。

「特別養子縁組や里親制度をご存じですか?全てのこどもが健やかに育つ環境を。」